八ヶ岳山麓の自然の中で

(山荘の窓辺で綴る随筆です)


アンテナは滑る

リスが餌台から帰っていくときはベランダの手すりの上を走り、ベランダに設置してあるアンテナポールを途中まで登り、 ポールの途中から横方向に突き出ているアルミ製のパイプ(アンテナ素子)の上を途中まで行きそこから屋根へ跳び移ります。 この餌台から屋根までの一連の動作は実に滑らかで、危なげのない動作に見えました。ところが先日アンテナのパイプから屋根へ飛び移ろうとしたときに ハプニングが起こりました。アルミパイプを後足でけったとき滑って落ちたのです。

アンテナは金属製ですからリスの足のつめは引っかかりません。よほどうまくパイプの中心付近を蹴らないと滑ってしまいます。  いままで無造作に見えたパイプから屋根への跳躍は毎回かなり慎重に足場を確かめていたのです。

ハプニングが起こったとき、リスの後足は空を切り、まっさかさまに落ちていきました。地上までは6メートルくらいありますから 「大変だ!大怪我をする!」と思ってあわてて下を覗き込んだところ、さすがリスです。落ちる途中前足を伸ばしベランダの端の板をしっかり掴んでいました。 そのままくるっと体をひねってベランダの上にあがり、何事もなかったかのようにポールを登り、横方向のパイプから屋根へと今度はうまく跳び移っていきました。 そして屋根の近くに張り出している木の枝に跳び移り樹上高いところを枝から枝へと渡って、森の奥へと去っていきました。

後日・・・・
六本木ヒルズの回転ドアほどではないけれどもこのアンテナにも生命の危険が潜んでいたと思い、改善することにしました。 滑らないようにするためにパイプの表面に透明ビニールテープを5重に巻いたのです。指で触ってもかなり摩擦があり、 テープ5枚分の厚みだけ爪が食い込むので、かなりの改善効果が見込めそうです。改善後のリスの行動を観察したところ、 思いなしかリスの跳躍時の動作が以前より軽やかに、気楽に跳んでいるように見えました。(^_^)

 
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