八ヶ岳山麓の自然の中で

(山荘の窓辺で綴る随筆です)


たゆまぬ学習

今年餌台に初めてヒガラがやって来ました。近くの森でよく見かけるヒガラが何故今まで来なかったのか、は分かりませんが、 一度来たヒガラはその日以後毎日来るようになりました。

最初に来たときはヒガラは餌台のひまわりの種には見向きもせず、イカルが食べた後の落ちこぼれを丁寧に拾って食べていました。 イカルはひまわりの種を丸ごと噛み砕き、殻を吐き出しますが、そのとき中身も多少こぼれ落ちます。ヒガラはその落ちこぼれを食べるのです。

餌台は毎晩簡単な掃除をして翌日の朝食用に餌を入れておきます。したがって朝一番というか、朝早く来たときは落ちこぼれがないため、 ヒガラは餌台のあちこちを歩き回り落ちこぼれが無いとがっかりした様子(?)で去って行きます。そのヒガラはヤマガラやシジュウカラのように ひまわりの種をくわえていく事はありません。若い固体らしく、ひまわりの種の食べ方を知らないようです。

ところが3日目のことです。餌台に来たヒガラがしばらく落ちこぼれを食べた後、ひまわりの種をくわえて飛んでいったのです。 いつの間にかひまわりの種の食べ方が分かったようです。その日以後落ちこぼれが無いときはひまわりの種をくわえて行くようになりました。 どうやら ヤマガラやシジュウカラの行動を見て、ひまわりの種の割り方を学んだように思われます。

餌台にはひまわりの種以外に時々ピーナッツも置いています。カラ類はこれが大好きで、「待っていました!」 とばかりに餌台に群がるようにやってきます。ピーナッツは丸呑みするのではなく足の間に挟んで、くちばしでつついて、ついばむのです。 しかし若いヒガラはこの食べ方を知らないので、相変わらずひまわりの種を持っていきます。ところがその2日後ピーナッツをしっかり くわえて飛び去って行きました。今度はピーナッツの食べ方を学んだようです。

ヒガラは単に餌を求めて餌台へ来ていただけではなかったのです。カラ類の行動をよく観察し、 常に向上心を持って日々意欲的に学習していたことが分かりました。
ヒガラの学習意欲に乾杯!

 
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