八ヶ岳山麓の自然の中で

(山荘の窓辺で綴る随筆です)


一度っきり

先日、私のHPを見た方からメールをいただきました。その方の餌台には冬になるとメジロが毎日来るそうです。いいですねぇ! 我が家の餌台にもメジロは来ます。というより来たことがあります。それもたった一度なんです。何故一度っきりなのか、それが今回のテーマです。

メジロが来るかも、と思って餌台にみかんを置いたことがあります。 メジロが来ることはきたのですが、 まもなくヒヨドリがかぎつけてメジロを追い払い、ミカンを全て平らげてしまったのです。 それ以来ここに来れば豪華なエサにありつけると 知ったヒヨドリはいつも餌台を監視しているらしく、餌台にリンゴやみかんを置くと数分後にはヒヨドリが来るようになってしまいました。 液体なら分からないだろうと容器に水の代わりにジュースを入れて置いたら、メジロよりもヒヨドリが先に来て、30分くらい居座って 全部飲んでいきました。これではメジロの出番はありません。

ヒヨドリは野鳥に関心のある方なら誰でも知ってるくらいポピュラーな野鳥で、全長28cmくらいで全体が灰色、くちばしがやや細長い野鳥で、 憎たらしい顔(?)をしています。ヒヨドリは ピィーョ ピィーョ と見かけによらずかわいい声で鳴きますが、鳴き声にだまされてはいけません。 実はヒヨドリはかなりのワルなのです。
メジロのえさを横取りするだけではありません。ヒヨドリが餌台に来るようになってから カラ類はもちろんアトリ科の野鳥も周辺の木々から姿を消してしまいました。ヒヨドリは周囲に睨みを効かすのです。 人間社会のどこかの親分のように。これではたまりません。 退去・転出してもらうことにしました。 以後餌台にヒヨドリの好物を置くのをやめたのです。

さて、ヒヨドリ敵視政策を取って数年、ヒヨドリはその間餌台に来ていません。しかしヒヨドリが周辺の森からいなくなったのか と思ったら、 決してそうではありません。ヒヨドリは時々近くの枝に止まって、こっそり我が家の餌台を窺っているのです。オレンジ色のアレがないか、 赤い色のアレがないか、甘い液体が置いてないか、とチェックしているようです。

いつの日にかヒヨドリを見かけなくなる時が来たらメジロにタップリご馳走してやろうと、はかない夢を抱きながら時折近くの枝に止まるヒヨドリを見ています。 お前の顔はもう見たくないんだよ、とつぶやきながら・・・・・・

 
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